海に囲まれた日本。そして、山の幸にも恵まれている日本では出汁の素材が豊富です。一般的な、鰹や昆布、いりこ、あごなどなど…。
ここでは、出汁の種類や地方ごとの違いや特徴とあわせて、地域で見るうどん出汁の種類についてまとめています。
関東と関西のうどんの出汁の違いは、ずばり原材料の使い方。
関東では、主に鰹節を原料とした出汁が一般的であり、昆布や煮干などは引き立て役として使っています。一方、関西のうどんの出汁は、昆布と鰹節、イリコなど魚系の原料の両方で味付け。
関西の「おだし」、関東の「おつゆ」と言われるように、関西では出汁を活かしているのが大きな特徴です。
透明度のある淡い色が特徴の関西風うどんだし。出汁は、昆布、鰹節(荒節)がしっかりときいたものが一般的です。
しょうゆや塩は、風味つけとして使うため、出汁そのものの味が活かすのが特徴。しょうゆも、薄口しょうゆが好まれます。
関西風の出汁の味付けには薄口醤油を使用します。薄口醤油は色が薄いですが、塩分が高く、素材の色や風味を損なわずにしっかりとした味を付けることができます。また、みりんや酒を加えて、ほんのりと甘みを持たせることも一般的です。これにより、出汁に奥行きと深みが加わります。適宜、塩で味を調整し、出汁のバランスを整えます。
関西風の出汁は、さまざまな料理に応用することができます。例えば、お吸い物や茶碗蒸し、うどんやそばのつゆとしても最適です。また、煮物のベースとしても使えるため、野菜や魚介類との相性も抜群です。関西風の出汁は、その軽やかな風味で素材の持ち味を引き立てるため、幅広い料理に活用できます。
関東の「おつゆ」と呼ばれるように、色の濃い醤油ベースの味付けが特徴的のうどん出汁です。
好まれるのは、濃口しょうゆ。濃口しょうゆの味と香りに負けないよう、香りの強い鰹節(枯節)を使用した、インパクトのあるつゆが一般的です。
関東風の出汁の味付けには濃口醤油を使用します。濃口醤油は色が濃く、旨味とコクが強いため、出汁に力強い風味を与えます。また、砂糖やみりんを加えて甘みを調整し、酒を少量加えて風味を引き立てます。塩で味を整えつつ、全体のバランスを見ながら調味料を加えていきます。これにより、関東風の出汁特有の濃厚な味わいが完成します。
関東風の出汁は、特に煮物や汁物に最適です。具材としては、肉や根菜類、豆腐などがよく合います。また、そばやうどんのつゆとしても人気があり、関東風の力強い風味が麺料理を引き立てます。さらに、おでんの出汁としても重宝され、寒い季節には欠かせない存在です。関東風の出汁は、その濃厚な味わいで料理全体の旨味を底上げし、深い満足感を与えます。
他にも、うどんに合う出汁はたくさんあります。提供したいうどんが、讃岐うどんなのか稲庭うどんなのか、出店したい土地の地域性や特産物を考慮しながら、出汁にこだわると良いでしょう。
出汁の中でも出番の多い「かつお出汁」。関西ではすっきりした旨味の荒節、関東では甘味のある枯節が好まれているようです。どちらも鰹が原料で、カビ付けしているかどうかが異なります。
地域としては西日本中心に古くから根付いている出汁の1つです。
「いりこ出汁」は、煮干しと同じカタクチイワシが一般的な原料。旨みが強いので、個性の強い食材と相性が良いとされています。黒潮の恵みを受けたイワシがたくさん水揚げされる九州や四国から全国に広がりました。
そのほかにも、焼きアゴやさば節、まぐろ節といったさまざまな魚を使った出汁があります。
あっさりしているのに風味が高く、素材の良さを引き立たせてくれるのが「昆布」です。昆布と言えば北海道。北海道から、北陸や関西に運ばれ全国に定着していきました。
昆布以外にも、しいたけやかんぴょう、干し大根なども出汁として利用されています。
このような植物系の出汁は、ヴィーガンやベジタリアンの方でも楽しむことができます。ヴィーガン向けの商品の提供を考えている方は、昆布や野菜の出汁に注目してみてください。
かけうどんとざるうどんでは、出汁の使い方や味わいが異なります。かけうどんの場合、温かい出汁をたっぷりと注いで提供します。温かい出汁は、うどんの麺と絡みやすく、全体的なバランスを取りやすいのが特徴です。
一方、ざるうどんの場合は、冷たい麺をつけ汁でいただきます。つけ汁は麺にしっかりと絡ませるため、味が濃い目に仕上げるのがコツです。また、つけ汁には薬味を加えて風味を豊かにするとさらに美味しくなります。
昆布の産地として知られる北海道では、昆布出汁の他にも一般的なかつお節や煮干しからとった出汁を使います。北海道の出汁は、クセがなくさっぱりとしているのが特徴。うどんの他、石狩鍋や三平汁などの出汁にも用いられます。
東北で古くから使われているのは、一般的なかつお節やさば節、宗田かつおのほか、「焼干し」と呼ばれる素焼きにした魚を乾燥させた出汁。魚の香りがしっかりとする濃い味が特徴で、けんちん汁などにも用いられます。
古くからそばの文化が強く根付いている関東・甲信越地方では、かつおやさば、昆布を使った強めの出汁が特徴です。関東では「枯節」が主に使われますが、甲信越では一般的なかつお節や宗田かつお節も使います。
東海地方などの中部エリアで使われるのは、むろあじ節やさば節、宗田かつお節などをブレンドした濃い出汁です。きしめんの出汁に代表されるように香りも味も強いのが特徴で、日高昆布の出汁を使う場合もあります。
黄金色に輝く薄い色が特徴の関西出汁は、澄んだ見た目と上品な口当たりで知られています。かつお節やさば節、宗田かつお節、うるめいわし節、利尻昆布・真昆布を薄口醤油と合わせて作られ、うどんすきやおでんに使われています。
さぬきうどんで知られる四国をはじめ、中国地方で使われるのはかたくちいわしの煮干しや昆布をベースにした出汁です。煮干しの風味が強く、濃くしっかりとした味わいが特徴で、うどんのほか、尾道ラーメンなどにも煮干しや昆布出汁が使われています。
かたくちいわしや焼きあご(トビウオ)、かつお節など、魚の出汁がよく使われる九州地方。椎茸を出汁に使うのも特徴で、強く濃いしっかりとした味わいになります。地方によって様々な料理に使われていますが、特に長崎県ではあご出汁をベースにした料理が多くあります。
豚骨やかつお節を使った出汁が主流で、椎茸や昆布を使うこともあります。一般的な出汁は豚のうま味とかつお節の香りを感じられるのが特徴で、沖縄そばのお店では店ごとに違ったブレンドや割合で出汁が取られ、味の違いを感じられます。
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